あ と が き
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上越教育大学では,組織,運営,教育研究活動等全般にわたる年次報告書を昭和60年度版(昭和61年12月発行)から作成・発行してきており,この平成24年度版で第28集を刊行するに至りました。このあとがきでは,本年度の年次報告書について各章ごとに総括します。
第一章「組織の運営状況に関する自己点検・評価」に関して,管理運営組織等,学生支援,附属施設等においては概ね順調に取り組まれています。教育・研究組織等に関し,各組織がそれぞれの立場において課題を挙げていますので,本学としてもその内容を見極めつつ,更なる改善を図ります。
なお,本年度は,特に注目される点として以下のことをあげることができます。
<次期学長候補者の決定>
若井学長の平成25年3月31日の任期満了に伴い,学長選考会議が学内の意見聴取を行い,次期学長候補者に佐藤芳コ副学長を選考した。
<「教職キャリアファイルシステム」の本格運用>
平成25年度から本実施となる教職実践演習の対応として,入学段階からの学生の学習内容,理解度等の把握と必要に応じた個別指導や評価を行うため,「教職キャリアファイルシステム」を導入し、「教職キャリアファイル(履修カルテ)」を活用した学生支援体制を整備した。
<教員採用試験ジョブアドバイザーの活用 >
大学院に在籍する現職教員学生(10県18人)を『教員採用試験ジョブアドバイザー』に委嘱し,学生が就職を希望する自治体の教育事情等について情報提供を行い,就職指導・支援を充実させた。
<心身の健康相談機能を強化>
全入学生を対象にした「UPI(University Personality Inventory:大学精神健康調査)」の結果を踏まえた面接や「不健康やせ」の学生に対する面接を実施しているほか,経営協議会の学外委員からの意見を踏まえ,平成25年度からカウンセラー(臨床心理士)の勤務時間を週8時間から週12 時間へ拡大することを決定している。
<上越教育大学スタンダードを踏まえたカリキュラム改善>
上越教育大学スタンダードを踏まえ,学生が各学年・卒業までに修得すべき到達目標,身につけるべき能力を明確にし,それらに基づいたカリキュラムの改善を行うことを目的として,平成20年度に『教育実習ルーブリック』,平成23年度に『上越教育大学スタンダードに準拠させて設定した教科のルーブリック及び知識・理解・技能等』を発行した。平成24年度は『上越教育大学スタンダードに準拠させて設定した教職科目のルーブリック及び知識・理解・技能』を冊子として発行し,全教員必携とすることにより日々の授業におけるカリキュラムの改善の必要性に関し意識化を図った。
第二章「各教員の教育・研究活動及び社会との連携に関する自己点検・評価」に関して,各教員は教育活動,研究活動,社会との連携活動について,積極的に取り組んでいます。特に近年は,社会的活動状況が増加傾向を示しています。これは,教員の養成のみならず教育研究成果を社会に還元し,地域と共に学びの場を創造するという,本学大学憲章の理念が浸透してきていることの証ではないかと考えられます。また,本年度自己点検・評価書の回収率は98.73%(157人中155人)でした。各教員の教育・研究指導の状況に係る自己点検・評価が授業の内容及び方法等の改善に結びついて欲しいと考えています。
第三章「本学専門職学位課程評価基準に基づく自己点検・評価」に関して,本年度は基準1,2,5,6,7,8,10の7つの基準について実施し,各基準とも全て基準を満たしていました。
なお,各評価基準における自己点検・評価の要点は,以下のとおりです。
<基準1「設立の理念と目的」>
本学の専門職学位課程(以下「教職大学院」という。)における理念・目的は,学則等に基づいた明確な内容となっている。この理念・目的に基づき,二つの養成する教員像を挙げ,これに対応して,コース・領域を設置している。
また,本学の修士課程と教職大学院の学生に修得させるべき能力等について,修士課程では,教育の臨床研究をさらに充実させ,学校教育の現場に根ざした実践的研究を通して「構想力」を育成することを主な目的としている。一方,教職大学院では,現在の社会的ニーズに対応し,これまでに蓄積されてきた教育の臨床研究と理論的な考察を学校教育の現場の中で活かしながら教育実践を展開・高度化することを通して,「即応力」を育成することを主な目的としており,それぞれの性格が明確に異なっている。
<基準2「入学者選抜等」>
本学教職大学院では,アドミッション・ポリシーを定め,学生募集要項に掲載するとともに,都道府県教育委員会や国公私立大学などへの配付,テレメールによる請求への対応や大学院説明会等での配付を行っている。また,ホームページ上でも公表している。
また,入試方法,配点,試験内容の概要については,学生募集要項に明示し,公表している。さらに,出身大学や現職教員の派遣元などは特に限定しておらず,開放性も十分確保している。
<基準5「学生への支援体制」>
学習環境及び学生生活の相談については,学生一人ひとりに専任教員をアドバイザーとして選任して対応しているほか,「学生なんでも相談窓口」の設置及び相談内容別に相談窓口を設け学生のサポートを行っている。
また,キャリアコーディネーターによる教員採用試験対策として個別指導,教員採用試験対策講座や就職ガイダンスの実施,教員採用学習支援システムの利用,教員採用試験問題集や参考図書の収集を行い充実した就職支援を行っている。
<基準6「教員組織等」に係る自己点検・評価書>
教員組織については,教職大学院の運営に必要な教員が確保されている。また,専任教員とは別に,任期付き教員として特任准教授及び特任教授1人を配置するとともに,学校教育実践研究センターの兼務教授1人を担当させ,実践現場の動きを恒常的に導入するよう配慮するとともに,学生への指導体制が充実している。
<基準7「施設・設備等の教育環境」>
教職大学院には,専用の教育研究施設として教職大学院棟があり,教職大学院多目的演習室は,学校の教室をイメージした演習室(模擬教室)となっており,教育研究活動に有効に活用されている。その他にも教職大学院専用の演習室やゼミ室,共用講義室を使用して授業を実施している。
また,当該教室においては,無線LANアクセスポイントをはじめとする情報教育設備の充実が図られ,教職大学院の教育研究組織及び教育課程に対応した施設の充実が図られている。
<基準8「管理運営等」>
本法人の管理運営組織として,役員会,経営協議会及び教育研究評議会を設置するとともに,大学に教員の選考及び教育・研究に関する事項を審議する教授会を設置している。また,教職大学院の教育及び運営に関する事項を審議するため「教育実践高度化専攻会議」を設置している。
さらに,教職大学院における教育活動等の状況について,広く社会に周知するため,「教職大学院案内」・「大学院案内」の印刷物や教職大学院の紹介DVDを作成・配付し,いずれも本学公式ホームページから閲覧可能としている。教職大学院ホームページでは,教職大学院の概要や教員のプロフィール等の多くの教育研究情報を掲載し,広く社会に周知している。
<基準10「教育委員会及び学校等との連携」>
新潟県教育委員会,新潟市教育委員会と連携し,教員の資質・能力及び新潟県の教育力向上を図ることを目的として,「新潟県教育委員会,新潟市教育委員会及び国立大学法人上越教育大学との連携推進協議会」を設置している。
また,同連携推進協議会及び「学校支援プロジェクト連絡会」を継続的に開催し,この中で寄せられた意見・要望等に関しては,可能なものから,教育活動等の整備・充実・改善に反映すべく取組を進めている。
本編の根拠として第四章に「資料編」を添付いたしました。最後に,本報告書の作成にご協力いただいた教職員各位に対して謝意を表しますとともに,学内外の関係各位からのご意見・ご助言をいただきたく,この場を借りてお願い申し上げます。
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平成 26 年 1 月 |
上越教育大学副学長
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大学評価委員会委員長
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天 野 和 孝
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