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自己点検?評価の対象期間: 平成27年 04月 01日 ~ 平成28年 03月 31日

押木 秀樹 (教授)
<教育活動>
授業
  【観点1】教育方法及び成績評価面での取り組み
 2015年度は、全学部生を対象とした授業において、国語科書写指導のための基礎力の向上に加え、教師としての一般的な能力である板書の文字などの基礎力向上に取り組んだ。前者は主として、手本をまねるといった授業から、手本に内在する学習内容を元に、子どもたち自身の字を向上させる思考および活動を中心とした授業への転換である。また、書字動作に関わる学習のため、視聴覚機器の使用やマルチメディア教材の作成により、学習効果を高める工夫を継続している。加えて、「手で書く」行為における相手意識や目的意識を高めるの指導について、体験的な活動を取り入れるなど意識して実践している。また、大学院の授業を中心として、書字能力向上を妨げる要因についての検討を授業に取り入れたことの成果が上がりつつある。評価に関して、学習物をポートフォリオ的にまとめることで、自己の学習過程を評価できる工夫を継続中である。 

  【観点2】教育の達成状況
 国語科書写の指導力として、授業の考え方など理解面については一定の学力を身につけていると考える。一方、国語科書写の指導のための実技能力と、教師としての一般的な能力である板書の文字などについては、十分とはいえない学生もいるように思われる。自学自習のための施設的な問題も解決できていないが、継続して工夫していきたい。 

研究指導
  【観点1】学部
 国語科書写教育研究の動向に加え、文字を書く研究領域について、書学等の伝統的領域から現代的領域までを基礎知識として押さえた上で、各学生の課題に対する指導をおこなった。ゼミでの専門領域の研究とともに、模擬授業なども継続しておこなった。文字研究?書道の領域に関しては、実物を直に見る機会(京都?奈良の博物館や製墨なども)を設けるなど、体験的部分についても留意している。特に本年度は、漢字指導と書写指導との隣接する部分や、書字動作や筆記具の緩衝作用に関する研究と指導などを中心に力を入れた。 

  【観点2】大学院(修士課程、専門職学位課程、博士課程)
 研究指導にあたっては、現場からの課題を解決する方向性と、将来の教育現場がどうあるべきかという方向性とがありうる。本年度は、漢字圏における書字学習の比較、漢字指導と書写指導との隣接する部分における研究課題の明確化と対応、書字動作のうち筆記具の持ち方と書字行為との関連など、基礎的な研究を中心としてその実践化を目指す方向で指導に取り組んだ。  

その他の教育活動
  •  教育実習では、ゼミ担当学生への通常の指導に加え、書写に関連する授業をおこなう(ゼミ以外の)学生に対するアドバイスをおこなった。授業以外で「文字を書く能力」の向上のための指導を希望する学生に対して、硬筆?毛筆の個別指導時間として、長期休業期間を除く月曜日?木曜日の19:00-21:00に講202教室において指導をおこなった。書道部顧問として、週2回の活動日等において指導を行い、学外での書道展の開催等の指導をおこなった。

特色ある点及び今後の検討課題等
  •  研究成果を教育活動に生かすという点で、2つがあげられる。一つは書字行為によるコミュニケーションを考える上でのパラ言語的な部分の研究成果を、授業内容として生かしていることである。もう一つは、書字動作のパターンの学習を多くの文字に適用するという考え方が、中学校書写教科書に用いられつつあり、それを教員養成の授業に生かしていることである。 また小学校低学年期を中心とした書字学習用具の効果を高める研究と、教育活動とを結びつけるよう意図して進めてきたが、それを硬筆筆記具にも広げていく取り組みをおこなった。


<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)  平成28年 03月: 手書き文字の未来のために(手書き文字と書写教育の未来のために),書写書道教育研究,30号
(2)  平成28年 03月: 手書き文字におけるパラ言語的機能としての規範性と個性等について-うれしさを感じさせる要素からの検討-,書写書道教育研究,30号
発】(1)  平成27年 11月 06日: ☆行書指導の改善と小学校における書字動作の学習,-,大崎地区教育研究会国語研究部,OH001941
(2)  平成27年 10月 11日: 手書き文字と書写書道教育の未来,.,全国大学書写書道教育学会 第30回記念(横浜)大会シンポジウム,OH001941
(3)  平成27年 10月 10日: 手書き文書のパラ言語的機能における規範性と個性等について,.,全国大学書写書道教育学会横浜大会,OH001941
(4)  平成27年 08月 27日: 手書き文字の果たしてきた役割とこれから,.,第56回全日本書写書道教育研究大会シンポジウム,OH001941

学会活動への参加状況
(1)  平成27年 ~ 平成28年 03月 31日: 全国大学書写書道教育学会 常任理事(全国大学書写書道教育学会)
(2)  平成27年 ~ 平成28年 03月 31日: 全国大学書道学会?理事(全国大学書道学会)
(3)  平成27年 ~ 平成28年 03月 31日: 書学書道史学会?諮問委員(書学書道史学会)


<社会との連携>
社会的活動状況
(1)  平成27年 08月 04日: ~ 平成27年 08月 04日: 教員免許状更新講習 講師(本学)
(2)  平成27年 03月 20日: ~ 平成28年 03月 31日: 文化審議会国語専門部会専門委員(文化庁)
(3)  平成27年 11月 11日: ~ 平成27年 11月 11日: 上越市学校教育研究会書写部会 講師(上越市教育委員会)
(4)  平成27年 07月 29日: ~ 平成27年 07月 29日: 書写実技講習会 講師(本学地域貢献事業?上越国語教育連絡協議会)
(5)  平成27年 04月 01日: ~ 平成28年 03月 31日: 上越市美術展覧会 運営委員(上越市教育委員会)
(6)  平成27年 04月 01日: ~ 平成28年 03月 31日: 石川県書写書道教育連盟 顧問(石川県書写書道教育連盟)

◎社会への寄与等
 主として,国語科書写指導に関して,全国レベルにおいては学習内容に関する理論について担当(学会常任理事など)するとともに,北信越地区から上越地区においては書写指導全般について担当(講習会講師等)した。なお,上越地区に限定されるものとして,上越市美術展における書道部門の作品講評なども担当した。 また国語科書写指導における学習内容論を中心としたwebページを継続して公開している。