自己点検評価の対象期間:
平成28年
04月
01日
~
平成29年
03月
31日
内藤 美加
(教授)
<教育活動>
授業
【観点1】教育内容?方法面での取組
大学院の講義では子どもの発達と学習に関する教育心理学の基本的事項について解説し,討論や意見交換によって学校教育心理学的な理解を促した。学部の認知心理学では,2回に1回は課題や模擬実験を行って,その結果をまとめ次の回で解説する方法を採った。計3回のレポートならびに出席状況で評価した。
【観点2】学修成果の状況
修了者3名のうち1名は県派遣の現職教員であり,1名が学部卒業生,1名が免許プログラム学生であった。学卒者のうち前者は適応指導教室講師,後者は私立高校国語教師として就職した。いずれも修士論文はしっかりした内容であり,全体として教育心理学専攻の教師の資質?能力は身についたと考える。
研究指導
【観点1】学部
指導学生なしのため該当なし。
【観点2】大学院(修士課程、専門職学位課程、博士課程)
修了予定者3名に対して,週1回の定期ゼミに加えて不定期にゼミを行い,修士論文のための文献講読,実験材料ならびに調査項目作成,実験準備,および論文執筆などについて指導を行った。特に実験および調査データの収集と分析,結果の解釈についてはきめ細かく助言を与え,原稿に丁寧に朱を入れて論文の向上を図った。残り2名の2017年度修了予定者には,10月までは11月の構想発表会に向け文献講読を行わせて,心理学の研究方法,論文の構成,統計学的知識などを習得させた。11月以降も引き続き文献講読させ,修士論文の研究課題を絞り込むような方向付けを行った。
◎
特色ある点及び今後の検討課題等
- 教育活動における特色の第1は,講義への演習と討論の導入である。演習を行うことにより,心理現象の面白さとその心理学的な捉え方を身近な実体験から理解したり,討論を通して疑問点を受講生同士が互いに補足し合うことにより,講義への学生自身の積極的な参加を促すよう努めた。
<研究活動>
研究成果の発表状況
論】(1)
平成28年
12月:
“心の理論”の社会文化的構成:現象学的枠組みによる認知科学批判の視点Socio-cultural construction of “Theory of mind”: A critical evaluation of cognitive science from phenomenological perspectives.,発達心理学研究,Japanese Journal of Developmental Psychology,27巻,4号,
pp.288-298
発】(1)
平成29年
03月
27日:
☆日本からの発信への問い直し,A critical evaluation of studies from Japan,日本発達心理学会第28回大会,Annual Conference of Japanese Society of Developmental Psychology,
(2)
平成28年
10月
27日:
自閉症スペクトラム幼児における出典記憶と未来思考との関連:定型発達児との比較,Source memory and future thinking in children with ASD: A comparison with typically developing children.,第57回日本児童青年精神医学会総会,The Japanese Society for Child and Adolescent Psychiatry,
(3)
平成28年
10月
08日:
☆記憶の発達と心的タイムトラベル,Memory development and "mental time travel",第39回日本精神病理学会,Annual Conference of Japanese Society of Psychopathology,
(4)
平成28年
07月
26日:
異なる解釈に対する日本人とイギリス人の説明と予測:高度な心の理論における文化差,Japanese and British explanations and predictions in differing interpretation: Cultural differences in advanced theory of mind,第31回国際心理学会議,31st International Congress of Psychology,
学会活動への参加状況
(1)
平成28年
10月
27日:
~
平成28年
10月
29日:
日本児童青年精神医学会57回大会(岡山),
(2)
平成28年
10月
07日:
~
平成28年
10月
08日:
日本精神病理学会,
(3)
平成28年
07月
24日:
~
平成28年
07月
28日:
31回国際心理学会議(横浜国際会議場),
(4)
平成28年
04月
29日:
~
平成28年
05月
01日:
日本発達心理学会27回大会(北海道大学),
<社会との連携>
◎社会への寄与等
明治安田こころの健康財団では財団が主催する発達障害?専門講座9「広い視座から自閉症スペクトラム障害を捉える」において,「記憶の発達と心的タイムトラベル」というテーマで講義を行った。自閉症スペクトラム障害の子どもの記憶を中心とする発達の様子を最新の研究知見などに基づきわかりやすく解説した。発達心理学会では編集委員として,年計4回の委員会の出席と,10本の論文査読とそのとりまとめ,審査を行った。こうした活動により,学会誌の質的な向上あるいは学校保健や教育現場での発達障害の子どもに対する理解や支援に間接的ながら寄与している。