APNME (Asia-Pacific Network for Moral Education)という組織があります。アジア太平洋地区の道徳教育の学会組織です。
2006年に、千葉県柏市にある麗澤大学で、岩佐信道教授が中心となってJournal of Moral Educationの編集長であったイギリス人のモニカ?テーラー氏をお招きし、中国と韓国と日本の道徳教育研究者が集まって、小さな研究会がもたれました。私も参加していました。その際に、モニカさんから、アジア圏は文化的背景が違うのだから、ヨーロッパやアメリカで開催されているAME(Association of Moral Education)とは別に、学会組織を作ってはどうかという提案がありました。この集まりを第1回としてAPNMEが組織されました。その際には、英語表記で、「学会」という言葉ではなく「ネットワーク」という表現を使おうということになりました。
その後、2020年には、上越で開催するという話になり、その前年度のインドネシアのバリ島での大会には、私も、次回開催責任者として参加しました。ところが2020年は、新型コロナの影響で開催できませんでした。その翌年の2021年には、イギリスでAMEとの共催で大会が開かれることになっていましたが、これもコロナで延期され、2022年にイギリスのマンチェスターで2学会の共催となりました。けっきょく上越大会は2023年に持ち越されることとなり、先月、デュオ?セレッソと本学を会場に開催しました。足掛け5年の大会準備となりましたが(実際に声を掛けられたのはもう少し前です)、当初予定とは大幅に伸びたこともあって、逆に、準備が滞る事態となってしまいました。参加者としてこの地に集まっていただいた皆様、陰でお助けをいただいた本学の教職員の皆さんや学生さんにも、厚く御礼を申し上げます。また、附属小学校では道徳の授業を中心にたくさんの授業を見学させていただきました。意見交換の場では通訳までお手伝いをいただき、附属小学校の先生方、ほんとうにありがとうございました。ほんとうに大勢の方々のお助けによってなんとか開催できたと思っています。
外国からご参加いただいた方々には大都市圏以外の日本を存分に味わっていただけたのではないかと思います。
これまで、この大会に参加して思うのは、西洋社会との違いです。もちろん、たとえば、日本と、中国や韓国、インドネシアやオーストラリア(私が大会に参加したことのある国だけをあげています)とも異なる側面はあるのですが、アジア太平洋地区では、AMEに参加して見聞きしている西洋社会における道徳教育との比較で言えば、道徳教育が宗教と切り離されている感じがします。主観的な大雑把なとらえでしかありませんが、現在の私の印象です。
令和5年7月18日
学長 林 泰成
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