年の瀬も迫り、なにかと忙しい毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。
12月は師走とも言います。教師も年末になると忙しく走り回るからだという説もありますが、平安末期の『色葉字類抄』(いろはじるいしょう)には「師匠の僧がお経をあげるために、東西を馳せる月」という説明があるそうです。教師ではなくお坊さんだったのですね。しかし、これとて、当時の編纂者が適当に書いたことかもしれません。また、「師」とは関係なく、「年が果てる」という意味の「年果つ」がなまったのだというような説もあるようです。これは、江戸時代の朱子学者新井白石の説だそうです。
さらに、『万葉集』には、「十二月(しはす)には 沫雪(あわゆき)降ると 知らねかも 梅の花咲く 含(ふふ)めらずして」(紀小鹿郎女(きのをしかのいらつめ))という歌が収められており、「十二月」と書いて「しはす」とよむと解されているようです。そうだとすれば「師走」は当て字ということでしょうか。しかし、今度は、なぜ「十二月」を「しはす」と読むのかとまた疑問が生まれます。ちなみに、この歌は、美しい乙女と無粋な男のことを詠っているという解釈があるそうです。
私は、漢字表現された語句を見ると、そこから意味を理解しようとしてしまいますが、「しはす?しわす」に関しては、案外、話し言葉としての音が先行していたのかもしれません。
さて、この1年を自分なりに振り返ってみると、私にとって一番大きな出来事は、なんといっても、新型コロナ感染症の5類移行です。新型コロナに振り回された3年間が過ぎて、ようやく一段落ついたという気持ちになりました。しかし、注意しなければならないのは、けっして新型コロナが撲滅されたわけではないということです。12月22日には、厚生労働省から、「穏やかな増加傾向が続いていて4週連続の増加となった。年末年始で高齢者など人に会う機会が増える時期なので、引き続き感染対策を徹底してもらいたい」(NHKの報道より)という発表が出されています。この年末年始は、1年前に戻ることのないように、注意しながら行動したいと思います。皆さんも健康には十分に気を付けてください。
つぎは、ワールド?ベースボール?クラシックでの「侍ジャパン」の優勝です。私は、日ごろ、スポーツ番組はあまり見ないのですが、このときばかりは、ついつい見入ってしまいました。野球だけでなく、最近では、いろんな競技で日本人が活躍しているなと感じます。私が子どものころは、日本人は身体も小さくて、海外のスポーツ選手にはすでに体格で負けていると感じていましたが、最近の若い人たちは身体も大きくなっていると感じます。栄養状態がよくなっているせいでしょうか。
三つ目は、夏の気温上昇です。今年は、暑い夏がずっと続いていました。秋の平均気温も、統計開始以来最高となったと報道されていました。これで暖冬となれば、寒さに弱い私としてはありがたいと思いますが、この地では、スキー場もたくさんありますので、冬の観光産業の発展のためには雪はあった方がよいですね。
年末は、1年を振り返るにはよい機会です。この1年間、皆さんには、どんな出来事がありましたか。よい思い出がいっぱいあるといいですね。でも、楽しいことばかりではなかったかもしれません。そうした方々は、その悲しみや苦しみを乗り越えていけるだけの力を培ってください。負けない心を育ててください。今年度で卒業?修了される方々も、大学?大学院生活はまだ3か月ありますからね。
どうぞよいお年をお迎えください。
令和5年12月23日
学長 林 泰成
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